料亭つたも主人・深田正雄の住吉の語り部となりたい

第73回(2017.4.21)

栄ミナミまちづくり構想と社会実験

栄ミナミ音楽祭2017
栄ミナミ音楽祭2017
(画像クリックで栄ミナミ音楽祭2017のサイトに移動します)

栄ミナミ音楽祭・・・栄周辺が「一つのライブステージ」になり、あふれるミュージックのもと街全体が一体になる地域イベント、今年は第11回になります。

5月13~14日開催。大須、久屋、名駅、金山にも広がり42会場、450組以上のアーティストが参加するイベントに成長してまいりました。

矢場公園のメインは13日(土)夕刻・矢井田瞳、佐藤竹善、14日(日)夕刻 嘉門達夫、奥華子、バンバンバザール、馬場俊英のメインアーティストが登場して、30万人以上の人出でにぎわいそうです。

地域活性化のためにイベントを毎年継続開催し、「街づくり催事」として定着させることをきっかけに、昨年11月14日にわが国では初めての民間全額出資の「栄ミナミまちづくり株式会社(藤井一彦代表取締役)」が設立されました。「栄ミナミエリアマネジメント委員会」の監督のもと、事業の取り組み方針を決定します。2018年度には都市再生推進法人として本格事業展開を検討し、特例の計画提案から、道路占用許可や公園占用許可を得てオープンカフェなどの常設も可能となってまいります。

今年3月24日開催されたエリアマネジメント委員会での資料に基づき、まちづくり将来像や社会実験の検証を報告させていただきます。

栄中心エリア
栄中心エリアでの「まちづくりに活用できる資源」の位置

第2次大戦で街のほとんどすべてが焼失した栄2丁目、3丁目は、世界に例を見ない大胆な区画整理を実施しました。100m道路建設、緑の公園設置、そして最近は地域開発に伴う公開空地が増え、何と地域の50%以上が「まちづくりに活用できる資源」となっています。

この10年の間、地域の団体による多様なイベントや街づくり活動が全国でも話題となり、情報発信「栄ミナミWEB」を通じまちのPRを展開しています。

栄ミナミイベント:栄ミナミ音楽祭、Nago1グランプリ、南大津通歩行者天国
栄ミナミイベント:栄ミナミ音楽祭、Nago-1グランプリ、南大津通歩行者天国

栄ミナミ音楽祭からスタートして、食のNago-1グランプリ、南大津通歩行者天国、日本ど真ん中祭り、多彩な防犯・防災活動、全域にわたる防犯カメラの設置、マスコミ各社の久屋大通イベント、テーマ街路灯、早咲き桜植樹、車道上アーチ企業広告・・・など、日本で初めてのトライアルといえる事業を含め、枚挙にいとまがないほどの活動を展開しています。この活動が栄のコミュニティを作り上げ、商店・住民・企業・官庁が一体化して楽しみながら組織作りが進んでいます。

栄ミナミ地区においては、名古屋初となる都市再生特別措置法を活用したエリアマネジメントの導入をめざし、栄ミナミエリアマネジメント委員会が地元主体で3つの社会実験を昨年4月より実施いたしました。(栄ミナミ・3つの社会実験)

第一は、「日本初!地上の歩道部へのタッチパネル式デジタルサイネージPRと広告」
昨年4月より(株)表示灯に依頼し、7ヵ所に設置、運営。歩行者の中で実際に触った人は全体の1%程度、広告販売も月単位では厳しく、週単位に変更し改善中であるものの、採算ベースには程遠い状況となっています。地域情報発信効果は高く利用者は満足するも、イベントなど情報の更新が必要との見解。アップデート可能な情報システム、栄ミナミWEBとの連動、各店舗のHPへのリンクなど課題も明確になってまいりました。

第二は、「有料路上駐輪場 7月よりラシック南、三蔵通り99台分設置」
一日平均有料利用は43台、放置自転車の減少、有料化による「安心感」の効果、がアンケートにも表れていますが、商店などのサービス券提供など地域サポートが必要。周辺の駐輪禁止地区設定などで改善されるが、有料化にはもっと広域の面整備が重要と考えられます。今後は放置自転車対策の要として位置づけてまいりたく思います。

第三は、「シェアサイクル事業 10月より「でらチャリ」として3ヵ所にて蔦井(株)さんに運営委託で供用開始」
2月までの登録者数は785名、利用回数2月は93件と冬季は激減。名駅、伏見、錦、名城各地区との相互連携が必要ですが、これから暖かくなる季節の利用が楽しみです。
皆さんも登録していつでも気軽にご利用いただければ嬉しく思います。
http://www.tsutai.co.jp/derachari.html
街の新たな移動手段の提供、安心な歩行空間の確保に向けて他地区にも働きかけていく必要があります。

仲間たちとどんどんチャレンジしている社会事業。名古屋工業大学伊藤孝紀准教授によれば、「栄ミナミの日本初となる」4つをリストアップしていただきました。

  • 全国初、道路(車道上・プリンセス大通アーケード)に広告を掲出
  • 全国初、道路(歩道上)のタッチパネル式デジタルサイネージ
  • 全国初、駐輪禁止地区の指定無し、有料駐輪システムの導入
  • 東海初、シェアサイクルの導入。交通系ICカードによる個人認証と決済が可能

このようの短期的な取り組みをスタートとして、中長期的なビション実行への組織として栄ミナミまちづくり(株)の今後にご期待ください。

そして、栄ミナミ社会実験の成果が各地の町づくりのモデルケースとなり、周辺地区との連携のきっかけになれば幸いです。

栄ミナミ・実施中の3つの社会実験
栄ミナミ・実施中の3つの社会実験