料亭つたも主人・深田正雄の住吉の語り部となりたい

第32回(2013.11.24)

栄ミナミは美術の殿堂、画廊巡りを楽しもう!

栄ミナミ・美術展巡りを楽しんだことはありますか? 画廊にも気軽に立ち寄り味わいある粋なデスプレイを満喫してください。美術商スタッフはどなたでも大歓迎、親切に応対され作品の由来や作者の説明を尋ねるのも住吉の街あるきの醍醐味です。

栄2-3丁目には黒川紀章設計の名古屋美術館、「生活と文化を結ぶ・・」松坂屋美術館の有料で毎月企画展が開催されています。そして、丸栄、三越、松坂屋の画廊ではユニークな個展で絵画を中心に新人発掘にも貢献しております。ナゴヤアートニュース掲載の一般ギャラリー市内48店の中、栄3丁目には11店舗、1・2丁目はそれぞれ3店舗、周辺の4丁目4店、そして、錦3丁目は愛知県立芸術大学サテライトギャラリーなど3店、錦2丁目には日動画廊他1店と半数以上が栄地区に集中しており、文化レベルの高さではないかと自負しております。同リストでは名駅前地区にはデパートの画廊以外にはなく、地域の特徴が感じられます。

正雄君はお祖父ちゃん(深田良矩)に連れられ、全て無料で楽しめる画廊巡りを子供の頃からお付き合いしており、料亭蔦茂の掛け軸やお道具を購入する様子が思い出されます。骨董品屋の集約には2つの理由が、地域では武家の嗜み「茶の湯」が庶民の楽しみとなった事。爺ちゃん曰く、「お茶事の道具屋がぎょうさんでけた、饅頭屋(茶菓子)もたんとあるがや!」。そして、もう一つは、朝日町にあった美術倶楽部が戦災で焼けて、南呉服町に移転したことであるとの事。http://www.meibi.or.jp/

名古屋美術倶楽部
名古屋美術倶楽部旧社屋(百年史より)

平成17年5月名古屋美術商協同組合員による名古屋美術倶楽部は創立百周年を迎え、各種行事が実施されました。翌年12月には記念誌「名美百年史」が刊行されました。

同誌によれば、明治38年5月12日名古屋古物(株)が創立、同43年東区朝日町3-11-2に土地300坪を1979円60銭で取得、(株)名古屋美術倶楽部と名称変更し、本社屋116坪新築を代金1万5100円にて谷武商店に請け負わせたとの記録があります。その後、隣接地取得、増築し各展示会やお茶会、集会に活用され、昭和20年3月12日の空襲焼失時には633坪であった。

その後、昭和23年に借地権交換などを経て、現在地、南呉服町2-5に土地358坪と2階木造建物を代金55万1900円にて購入したとされています。数寄屋造りの料亭のような粋な門構えで、正雄君は「どうして仲居、芸者の出入りがないのか、不思議?」でもありました。

倶楽部会館では数多くの展示会、お茶会、発表会など開催され、近隣の料亭として蔦茂は出前配達など幅広くご贔屓になっております。五都美術商連合会(東京・大阪・京都・名古屋・金沢美術倶楽部)主催の五都展は日本画巨匠の新作オークションで素人も入札できるとあって、毎年祖父や親父と同行しており、蔦茂の絵画も一部ここで取得していたようです。

現在の名古屋美術倶楽部
現在の名古屋美術倶楽部

しかし、ほとんどが関東・関西勢の落札、名古屋ではメナード野々川さん、ヘラルド古川さん、林テレンプさんの独壇場であった記憶がございます。各美術館のコレクションの多くが南呉服町にある倶楽部会館のご縁ではないかと思っております。

そして、幾多の増改築を経て昭和54年に竹中工務店請負で現在の鉄筋コンクリート4階建てビルが新築されました。

ナゴヤアートニュース記載の名古屋美術商協同組合員は栄地区では伊藤美術店、岩勝画廊2店のみですが、ほかに、茶道具・古美術・骨董のウロコヤ、横井商店、天然堂、茶道具商ながさか、長善、長谷川長冝堂、古川古美術、前田壽仙堂、美の伊美術品店、日本画・洋画ではマエマス画廊、ギャラリーあおい、近現代工芸の玉齋各店が店舗にて個性豊かな展示をされています。メンバー以外の新しいギャラリーも多く、「歩いて楽しい栄ミナミ」に貢献しております。