料亭つたも主人・深田正雄の住吉の語り部となりたい

第27回(2013.6.25)

名古屋市登録地域建造物資産第100号に創業100周年の料亭蔦茂が認定

名古屋市都市景観条例を改正(平成23年6月1日)し、まちの中で大切に使われてきた、身近な歴史ある建造物を地域の資産として「登録」または「認定」する新たな制度をすすめております。

この度、住吉町二丁目・創業100年の料亭蔦茂が第100号に登録されました。地域に残る歴史的建造物を多くの人に知ってもらい、それらを大切にしていく気運の醸成につなげ、歴史的建造物の保存・活用を推進していきます。

蔦茂は現在地で大正2年創業、昭和20年の戦災で建物は全て消失しましたが、庭・池の石、清州越えからといわれる3本の井戸が残りました。戦後、いち早く現存する黒塀本館を昭和21年に市内で最初の旅館として開業。

昭和27年、岩城誠一郎氏設計の玄関ビル内に当時初めて和風料理屋を作るユニークさで話題、そして、本格数寄屋造りの別館、昭和33年には息子・岩城誠作氏と共に屋上にゴルフ練習場を併設するといったユニークな宴会場ビルなどが名古屋の粋を守り、料亭座敷として現在も活躍しております。

また、地下10M から汲みあげる豊かな井水は池の鯉、生け花、調理の下ごしらえに活用、400年の歴史を感じさせるとともに、かつての紫川の源流のひとつといわれております。

一昨年より歴史的建造物保存活用の担い手となる専門家を養成する「名古屋歴史的建造物保存活用推進員(なごや歴まちびと)養成講座」がスタートし、今年で3期目を迎えました。歴史的建造物の保存活用に関心の高い建築士さんなどを中心に全科目を修了した合計77名が、景観整備機構公益財団法人名古屋まちづくり公社の“なごや歴まちびと”として登録されています。

この方たちは、名古屋市内に現存する建築後50年以上を経過した歴史的に価値有る建造物に対して、保存・活用のための補修、改修、活用方法などについてアドバイスを行なっています。

栄3丁目地区は1945年の大空襲にてほとんどの家屋が焼失しましたが、一部の土蔵が残ったほか、奇跡的に矢場町の勝鬘寺一帯北側の長屋と住吉3丁目角4軒の木造家屋が戦火を免れ現存しております。

現存する土蔵は3つ、若宮八幡社北側の元住吉町の山車蔵(古出来町の河水車が残る)、住吉町3丁目花柳流の踊りの稽古場、そして南大津通り安藤七宝店「七寳藏部」の土蔵(大正7年建造)があります。同蔵は保存改修され、認定地域建造物資産第46号として評価されております。常設の尾張七宝焼き展示館だけでなく、栄ミナミ音楽祭では素敵なクラシック演奏会場として市民に憩いを提供しております。

夫馬商店
夫馬商店
早川商店
早川商店

そして、名古屋市指定有形文化財の勝鬘寺(本堂・山門・太鼓楼)北にある明治以前築といわれる夫馬商店(栄3-28-23)は、名古屋市地域建造物資産第21号に登録され現在も店舗・住宅として活用されています。同じく第99号に登録された、住吉3(栄3-19-2)早川商店は大正末期建造といわれ、文具店として営業されております。両地区では住宅建物が戦後も残存したため区画整理の遂行上道路の拡幅が難しく、現在も歩道のない狭い通りとなっています。

お問い合わせ:
なごや歴まちびとの会 事務局長:有限会社 野口良一設計事務所 野口和樹氏
〒460-0012 名古屋市中区千代田3-18-16
mobile:090-2688-7260
E-mail:k-noguchi@noguchi-sekkei.co.jp
なごや歴まちネット:http://www.nagoya-rekimachinet.jp/

名古屋市住宅都市局都市計画部 歴史まちづくり推進室 調査企画係長 永原誠氏
TEL:052-972-2779 E-mail:m.nagahara.00@city.nagoya.lg.jp

写真:栄3丁目登録地域建造物資産
登録第21号 夫馬商店 明治以前築 店舗・住宅 中区栄三丁目28-23

登録第99号 早川商店 大正末期築 店舗 中区栄三丁目19-2