料亭つたも主人・深田正雄の住吉の語り部となりたい

第50回(2015.5.23)

矢場公園パークサイドストーリー

松坂屋さんが中心となり、株式会社名古屋地下駐車場が設立されて今年で半世紀。このたび『エンゼルパーク五十年史・この街とともに』が発刊されました。

昭和35年頃矢場公園周辺
写真:1 昭和35年頃矢場公園周辺

昭和41年4月、矢場公園に141台の地下駐車場が建設され一般供用されました。当時は駐車するのにお金を払う習慣がなく、営業にも苦労されたようです。それでも近隣の大手百貨店などとの提携で繁昌し、平成14年には社名も(株)エンゼルパークと変更。収容力も久屋大通南を含め1000台と、市内最大の規模で展開されております。

当時の公園周辺を思い出しながら、半世紀の変遷を北見地図から中央高校より反時計回りに路地裏文化を紹介してまいりましょう。(写真1)

うなぎ料理「万喜料理店」のやんちゃ坊主、1年後輩の青木君は分団リーダー、東鮨・暖簾分けすし店「千力」の自社ビルはブランド衣料店となり、お店は丸の内2丁目に移転されました。かき揚げ丼が名物の天ぷら屋さんに変身して頑張っています。

パーマ屋の森さん、マキさん、どちらも母娘で賑やかで、この地域の大型ヘアサロンの礎といえるかもしれません。パーク西のEMA、WORKS、南と西にはBLANCOとカリスマ美容師がリードするファッションタウンと変化しています。雑誌『ケリー』名付けた「名古屋巻き」「なごや嬢」スタイル発祥の地区といえます。

学生服卸の寺井商店さんは、1階にジョンブルという英国調喫茶店を奥様が経営。小生がモリシマ勤務時代の朝にはモーニングサービスをごちそうになっていました。現在はお洒落なファッションビルで、最上階にお住いのご令息・寺井規智さんは栄ミナミ・エリアマネジメントのメンバーとして街づくりにご貢献いただき感謝しております。

パーク西:東すし、寺井、伊東ビル
写真:2 パーク西:東すし、寺井、伊東ビル

伊東商店さんは明治24年に先々代・伊東米次郎氏が名古屋市中区鍛治屋町で小間物、べっ甲製品の製造事業をスタート。先代の小柄でバイタリティある善一郎社長は「男のダイヤモンド・ロイヤルバロン」ブランドを展開、宝石業界への貢献で藍綬褒章・勲五等瑞宝章受賞されております。

南隣には岩田玩具さんがユニークな玩具の小売店とテナントビルを建設されましたが、現在はエフジーパークサイドにリニューアル。素敵なカフェやワインバーなどが入居され、私たちの憩いの場となっております。(写真2)

パーク南:十全病院跡、旅館・御宇良跡、奥に白林寺トタン塀
写真:3 パーク南:十全病院跡、旅館・御宇良跡、奥に白林寺トタン塀

南は皮膚科「十全病院」と椙山先生宅、東角・内科・小児科「仙田医院」とも評判の名医で、早朝より患者さんが長蛇の列をなし開院をまっていました。

路地内では、カメラのヒダカヤの山口さん、籐製品・乳母車の東谷さんのご自宅や長屋がありましたが、白林寺の借地が多く現在は移転に伴い月極め駐車場群となりました。そして、若園、御宇良(みうら)2軒の旅館跡、トタン塀の内側にはキャベツ、茄子、えんどう豆、トマトなど植えられた同寺の菜園など、都心栄のイメージとは程遠いレトロな景観が印象的です。(写真3)

そして、東側角の江口化粧品卸店は、和洋ナチュラルレシピと自然派ワインで「安心・安全で体にいいもの」がコンセプトの自然食レストラン「ハタケタナカ」菜園食堂へ。森永製菓のストックヤード南には、昭和53年に大型分譲マンションのロータリーマンション栄がオープン。1Fには大津通りの花長から独立された「花ギャラリーめぐみこ」が素敵な緑と憩いの空間を提供しています。

パーク東:左よりユニクロ、ロータリーマンション、ハタケタナカ食堂
写真:4 パーク東:左よりユニクロ、ロータリーマンション、ハタケタナカ食堂

北角は駐車場ビルを経て、平成21年秋に東海地区最大約800坪の売場面積を持つ「ユニクロ名古屋栄店」が誕生、多くの若いお客様で賑わっています。(写真4)

公園南地区は商人旅館が多くありましたが、12、3年前の「さくらや旅館の再生ストリー」をご紹介しましょう。オーナー三浦英二氏とカリスマ設計士・神谷利徳の発想から話題の町おこし事業となりました。
その後、料亭蓬莱さん敷地などとともに(株)タキヒョーさんのリードで開発が進み、平成26年末パルコ・ゼロゲートが開業されています。

さくらアパートメント開業の頃に記された(株)都市研究所スペーシアのニュースレターを転載します。

さくらアパートメント(旧さくらや旅館)  ~インディーズな場所2~

平成13年2月に閉館した旅館「さくらや旅館」が、この年4月末に『さくらアパートメント』としてリニューアルオープンした。
<名古屋市中区栄3-28-111  ○本館/木造2階建て ○新館/鉄筋コンクリート4階建て>

パーク東:左よりユニクロ、ロータリーマンション、ハタケタナカ食堂

近頃「栄南」と愛称される矢場町界隈。ナディアパーク、パルコが並び、大須へと向かうこの地域は今名古屋の若者たちに最も注目されている。

栄という立地でありながら比較的規模の小さなビル、また路地やぬけ道などがあり、若者たちのインディーズ気分は十分にそそられる。そのため矢場町界隈には老朽化したビルや空店舗などをうまく改装した個性的な店舗が集積してきた。さくらや旅館にもそういったオファーが以前からもあったようだ。 

旅館時代の部屋をそのまま貸し、服やアクセサリー小物、アロマテラピーなど30軒ほどのテナントが、各々部屋を自由に改装して店舗にしている。店のオーナーたちは若く、ほとんどが自分でデザインした手作りの商品を置いている。各部屋の個性的な内装もみな手作りだ。