料亭つたも主人・深田正雄の住吉の語り部となりたい

第45回(2014.12.19)

矢場町一丁目・矢場公園周辺

矢場公園の現在地は、清須越えに伴い成瀬家の菩提寺である白林禅寺の北敷地で墓地として使用されていました。明治になり育児院(保育所)と専売公社タバコ工場もあったといわれております。戦後の区画整理で墓地は平和公園に移転し、学校の隣地は公園にという行政指導もあり、中央高校の南の児童公園として子供たちの遊び場から、ホームレスの根城ともなっていました。

昭和37、8年頃、道路も舗装されて民間の車の出入りが多くなり、松坂屋、丸栄、名古屋証券取引所関連の駐車問題解決が街のテーマとなってきました。

杉戸市長が地下駐車場建設促進を発表、金文堂・丹羽金作社長をリーダーに地元の有志の合意をえて、なんと公園の地下に有料の車置き場を建設することとなりました。松坂屋さんが中心となり、株式会社名古屋地下駐車場が設立され、昭和41年4月矢場公園下に141台、10月に久屋大通り南公園地下にも294台建設され一般供用されました。

当時は駐車するのに金を払う習慣がなく、営業にも苦労されたようです。それでも近隣の大手百貨店などとの提携で繁昌し、平成14年には社名も(株)エンゼルパークと変更、収容力も1000台と市内最大の規模で展開されております。オープン時の料金は30分60円、月極め1万9000円であったと同社10年史に記されています。同社は地元栄ミナミの地域発展への協力も多大で、来年開業50周年を迎えられることをうれしく思っています。

森永製菓といえば名駅前の旧大名古屋ビルヂング屋上にあった象徴的な球形回転型ネオンサインが有名ですが、栄とのかかわりについてお話ししましょう。

森永製菓は明治38年、トレードマークにエンゼルマークを制定。マークの由来は、創業時の主力商品のマシュマロが英語で「エンゼルフード」と呼ばれていたことから。また、創業者森永太一郎自身がキリスト教徒だったことも関係する。(ウィキペディアより)

矢場公園西のブロックは森永のキャンディストアー、事務所、倉庫、配送センターとして広い土地で、戦後のベビーブームを支えた粉乳販売にも注力していました。広告塔として久屋公園南にはエンゼル球場や公園を管理運営して、僕たちは一帯をエンゼルパークと呼んでいたことから、駐車場会社もエンゼルパークと改称されました。しかし、同社株主や役員にも一切、森永グループさんは関与されていません。

そして、公園はナディアパーク開業に伴って整備され、イベント広場となり地域のコミュニティ活動の中心となってきました。

NCA校舎と後方はNext Focus (本年11月21日オープンの大型靴店)
写真:1 矢場公園での栄ミナミ音楽祭2014。5・10オープニング、サカエガールスと共に

栄ミナミ地域活性化協議会(会長・正雄君)が音頭をとり、栄ミナミ音楽祭(写真1)、盆踊り大会、ど真ん中祭、Nago1グランプリ、そして、アイススケートリンク「ナゴリン」をへて、今冬は11月29日から1ヵ月間、日本で初めての企画でとってもお洒落な「TRAVELLERS in北欧クリスマスストリート」開催。本日19日金曜日には、来場5万人記念のイベントで盛り上がっています。 

NCA校舎と後方はNext Focus (本年11月21日オープンの大型靴店)
写真:2 矢場公園全景 昭和39年頃(東北より望む)名古屋地下駐車場10周年誌P42

名古屋地下駐車場10周年誌掲載の矢場公園全景写真(写真2)から当時を偲んでいきたく思います。

写真は3階建ての加藤小児科ビル屋上から南西に向かって撮影されたようですが、手前は森永製菓名古屋駐在所のショップ・倉庫・駐車場、左奥は化粧品卸の江口商店です。

右奥の4階建てビルは栄で最も古い雑居レジャー「住吉ビル」オーナーの定政さん実弟が、1階で「喫茶・いよ」を経営され、近所の我々の社交場として10年ほど前まで賑わっていました。

手前のビルは「一光石油・矢場給油所」。7年ほど前までコインパーキングでしたが、先月(11月)21日に大型の紳士靴店「Next Focus」がオープンしました。なんと、オーナーはツルヤ靴店オーナーの服部博幸さん。本物のこだわりのお店で栄に復帰され、新しい名所となりそうです。

南は昭和38年竣工の(株)森島羅紗店、小生が昭和58年から平成18年まで代表をつとめておりました。全国のテーラーさんへ尾州の服地を切り売りするのが母体の事業で、屋上の森島ビル看板の横には「高級紳士服地・長大スーパーテックス」の懐かしいネオンが輝いて見えます。現在も後継の杉本忠雄社長のもと、オーダースーツ展開で頑張っています。

そして、広告塔「アイチの時計」は昭和22年創業の瑞穂商事(株)で、愛知時計電機株式会社営業部時計部門を分離させ、アイチの時計総発売元としてスタート。輸入時計卸業の新ビルを建設され活躍されています。

その奥は、昭和35年頃建設の山市ビルさんで、多くのテナントが今も入居されています。南の3階建ビルは内装品卸の小松タペストリー。向い角は「君が代文具」の河合茂商店のビルで、現在は1階にセブン―イレブン、2、3階に「くまカフェ」が入居されています。

矢場町1丁目、なんと矢場公園が久屋公園と誤植
矢場町1丁目、なんと矢場公園が久屋公園と誤植されています (中区住宅地図P14-15合成、昭和35年頃)。
公園西のブロックは森永製菓敷地