料亭つたも主人・深田正雄の住吉の語り部となりたい

第26回(2013.5.25)

栄で競輪!!サテライト名古屋

サテライト名古屋外観
サテライト名古屋外観(栄3-9-21)グランドビル東隣接。
戦後は岐阜提灯問屋「平松商店」そして、立体駐車場ビルとなりました。

2007年の秋、地元の中堅不動産企業社長から、「街づくりについて事例見学して欲しいところが都内にあるから兎に角、上京してくれ」と懇願されました。訪問地も告げず、詳細は東京でとのこと。ちょうど出張ついでに新橋駅前SL広場にて待合せました。

立ち寄ったのは広場横の「ラ・ピスタ新橋」という会員制場外車券売場で、大変明るく楽しい雰囲気に圧倒された記憶があります。ギャンブル場外車券場の暗い、そして、不潔なイメージが一新された鮮明な印象でした。

某社長曰く、「栄の活性化に是非、都市型競輪サロンの導入を考えて欲しい。場所も住吉に素晴らしい適切なビルがある」とのことで、またビックリ!!

小生の質問「どうして事前に見学場所を伝えないのか? 今、何故、課題の多い公営ギャンブルの出先を栄へ?」

返答は「場外車券場といったら先入観で、絶対に見学にも来ないでしょう? 栄の環境浄化にはこういったドラスティックな事業が必要! 見れば深田さんでも判るでしょう!」

実は、同年より「栄中部を住みよくする会・会長」を拝命して、地域活性化への仕事と地域町内の協調の中心に据えられ、第一弾として「栄ミナミ音楽祭第0回」を春5月にスタートしておりました。イベントを通じて各町内相互コミュニケーションがやっと始まり、地域の問題も語り合える環境が出来つつありました。当時は、ミニバブルが崩壊して、関東関西の不動産投資ファンドやリートが住吉地区の大型ビルを取得、開発しておりました。

しかしながら長引く不況もあり、大型テナント需要は一部の違法カジノ、出会いカフェ、キャバクラなどに限られ、組織暴力グループ関連の事業誘発につながる恐れがありました。

ファンドの所有する住吉町2丁目サラスクエアビルは2階にちゃんこ鍋「若」のみ入居で、町内でも不適切なテナント入居の可能性に疑心を抱いておりました。このビルに新橋などで実績を上げている(株)サテライトジャパンが場外車券所を運営をするという企画でした。

早速、新橋地区の町内を中心に地元の評判や同社の運営実態を調査し、素晴らしい街づくりへの貢献に納得、当該町内会長・鬼頭釼二(故人)さんも快諾、近隣町内会のメンバーの見学などを推し進め、誘致に向けて2008年7月25日東急インにて第1回住民説明会を開催しました。一部の参加者から風紀の乱れを心配する意見もあり、次回は栄地区全体に呼びかけ趣旨を理解いただこうと第2回設置説明会を8月22日に設営しました。

しかし、第2回当日は説明会どころか、地域外から名古屋商店街振興連盟(名商連)関連のグループが150人以上集合。“反対”鉢巻姿で会場に押しかけ、のぼり旗を掲げ大反対のシュプレヒコールで混乱。冷静に事業説明を聴こうとする地元住民とはかけ離れた行動となりました。

充分に計画内容を検討もせず、当該地域の意見もきかず、名商連は「市内の中心地でこの施設は、生活環境や青少年の教育に悪影響を及ぼす恐れがある」として議論余地なく反対、騒ぎの収拾がつかなく説明会は流会となり、マスコミに大きく取り上げられたことはご存知の方も多いかと思います。

残念ながら地元意見とはかけ離れた外部からの影響の反対意見で地域は混乱しました。当該の住吉2丁目町内会は分裂騒動まで発展していきました。しかしながら地道な啓蒙活動、事例見学、当該関連町内の熱意で次第に近隣の理解も深まり、1年後には栄地区の合意がほぼ得られ事業伸展の目途がついてまいりました。

しかし、今度は新たな難問、仲介した不動産会社が経営難に陥るだけでなく、予定地のオーナーファンド運用会社・東証一部上場のパシフィックホールディングス(株)が会社更生法を2009年3月10日に申請、更生債権となる当該物件の開発がストップとなり、再建計画の承認前では住吉町での開業が困難となりました。

私たちが事業の継続を諦めかけていたころ、地域の合意形成に大奮闘した「住みよくする会」副会長の白瀧正人氏が三蔵通り・南呉服町2丁目、日本リートのビル(料亭蔦茂の3軒東)の活用を提案、サテライトジャパンが賃借する方向で地元誘致を継続する交渉を展開しました。

2010年には建設予定地変更の合意も得られ、開業へ向けてスケジュール調整の最中に新たな難問、これまで事業者として中心であった(株)サテライトジャパンが親会社(東京港区デベロッパー)の業績不振で銀行融資がつかないとのことで事業撤退を表明。また、頓挫寸前となりました。

そこで白瀧さんの調整で、オーナーの(株)日本リートが運営会社(株)サテライト名古屋を設立して事業計画を承継するということで一件落着、関係官庁への申請など4年間の紆余曲折を経て2012年5月7日無事、開業となりました。

現在は栄ミナミの人気スポットとして、会員数7400 名、毎日数百名の来場者で賑わい、地域の活性化に貢献。町内各地の清掃、警備、案内ガイドを配置して「歩いて楽しい栄ミナミ」にはなくてはならない存在となりました。

防犯カメラ設置記念式典記事、中日新聞より
防犯カメラ設置記念式典記事、中日新聞より

また、2012年3月には競輪事業に伴う地元事業交付金の授受・使用について「サテライト名古屋地元連絡協議会」が設立されました。勝田明会長のもと栄2-3丁目17町内代表の総意で今般、安心・安全な街づくりのテーマに基づき、地域に100台の防犯カメラ設置計画を推進することが決定し、2013年5月10日河村たかし市長とともに矢場公園で記念式典が開催されました。

ここに至るまで白瀧氏を中心に多くの方々の尽力、契機となった住吉2丁目、故鬼頭会長のなみなみならぬ努力に敬意を表しつつ、今後、「栄中部を住みよくする会」多湖秀明会長のリードでサテライト名古屋の発展とともに栄地区の活性化への貢献に期待しております。

サテライト名古屋HP:http://www.st-nagoya.com/